日本の住宅政策に高齢者向けの住宅と呼べるものが登場したのは一九六四年、その前年の老人福祉法の制定を受けて制度化された特定目的公営住宅が最初である。名称のとおり、特別の住宅という位置づけであるが、対象は高齢者世帯(高齢者夫婦のみか、それに一八歳未満の子の同居する世帯)のみにかぎられていた。日本が高齢化社会に入った一九七〇年頃から家族との多様な住み方に配慮した住宅が試みられ、一九八〇年にはようやくひとり暮らし老人が公営住宅の対象となった。
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こうした流れの後、一九八五年になって、住宅対策に福祉サービスがようやく連携し、在宅サービスの充実を前提として、高齢者向けの住宅と呼べるものがスタートした。また、新たな居住水準は高齢者への視点が盛り込まれたものとなった。一般の住宅の質の向上と地域施設を含めた在宅サービスの充実の両輪をともにすすめることによって、〈ノーマライゼーション〉は可能となる。その基礎的なかたちができたように思われた。ところが、その後、再び、サービスと住まいをセットにした高齢者向けの特別な住まいとして、厚生省はケアハウスをつくり、建設省はシニア住宅を計画中である。住宅政策が特殊解でなく一般解の充実によってすすむことの一助とするためにも、住宅の計画を「一般的な質の向上を見すえたノーマライゼーションの建築化」であるようにしたいものである。